ずいぶん昔、母が私たちによく言っていた言葉。
「夫婦仲良くしてくれるのが一番の親孝行」
子供たちがそれぞれ結婚し私達から離れていって、初めてその言葉の真意が理解できた。
7年前に母が亡くなったとき、父が涙を我慢しながら私に言った言葉。
「わしの味方がおらんなった」
当時は「私がいるじゃない。私はいつまでも味方よ」と言ったが、
その時の父の言葉の真意を、今になって徐々に理解しはじめている。
死に向かって人は時間を潰す。
でも、生きているということは、「無駄に潰しているわけではない」と言うことなのだ。
歳を重ねて初めて、共に生きた相手に生まれる感情がある。
その感情を時間をかけて一つずつ一つずつ心のうちに重ねて行く。
自分も一つずつ重ね始めたとき、
初めて人の言葉の真意に触れることが出来るものもある。
歳をとるということは、ありがたいものだ。