携帯電話の調子が時々おかしくなるので、そろそろ買い替え時かなと思いながら、時々お店で物色し始めている。
今では色々な機能をもった携帯電話が出てきてる。
用途に合わせて、それぞれが違う特質を持った電話機があるので、見ているだけでも結構楽しい!
携帯電話を見ると、去年亡くなった父を思い出す。
父は自分より5年前に最愛の妻(私の母)を亡くし、5年間は寂しい生活を余儀なくされた。
自分の体が思うように動かなくなると、人の携帯電話を見るたびに
「そがあな電話機を首から下げておきたい」と言っていた。
自分がどこかで倒れた時に、誰かに助けを求められるから電話が欲しいのだろうと思っていたら、父の話はもうちょっと具体的だった。
熊は獲物を襲うと、その獲物を自分の餌場に隠すらしい。
自分が熊の獲物になったときに、山の洞穴に隠されたら、誰にも居場所を教えることが出来ない。
「その電話がありゃあ、教えられるかもしれん」と言う。
父は生まれて死ぬまで、とことん自然の一部だったのだ。
弱肉強食の自然の中で、元気で強食だった父が、歳を取り弱肉に立場を変える経験を、身を持ってしているのだ。
熊に襲われる覚悟もついているようだった。
でも、いまだに私の実家は携帯電話の電波が届かない。
そして、幸運なことに、父は熊に襲われる前に、天寿を全うした。
これで、携帯電話に頼る必要もなくなった。
でも、私は極力熊に襲われたくないので、せめて早く実家でも携帯電話が使えるようになるといいなと思う。
あ、実家で携帯電話が通じるようになったとしても、
熊に襲われた後、熊の餌場までの道順がわからん・・・・・。
「携帯電話があっても、誰にも教えられんじゃん・・・・・」